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【ブランディングコラム集バックナンバー】



◆コラム:「ブランディング戦略に不可欠なイノベーター理論」



移ろいやすく変化しやすい様として「女心と秋の空」とは良く言ったものですが、近年はこれに「お客ごころ」を付け加えた方が良いのではないかと心底思うほどブーム・トレンドの移り変わりが激しくなっています。昔は企業の寿命も30年と言われた時代もあったが、今の時代にそのような感覚で経営をしていたらすぐに取り残されてしまうでしょう。

そうかと言って短命と予めわかっている事業を転々と起こしていくことで成功することができるかというとそんな生易しいものでもありません。10個の事業を考えたとしても、そのうち当たるのは1~3つが良いところだと言われています。事業をコロコロと変えていくようでは仮に最初はうまくいったとしてもいずれ必ず足元をすくわれるのがオチでしょう。

事業を長続きさせることが難しくなってきた時代だからといって、様々なチャンスが転がっている時代だからといって、一発大もうけを狙うのではなく、「そのような環境の中でもいかに事業を継続して発展させ続けることができるかが鍵であるなぁ」そして、「それにはいかに自社のブランド構築を成し遂げることができるかだなぁ」とつくづく感じる今日この頃です。


さて、ブランド構築に何が最も大切か?と問われた時、私はいつも「お客のことをよく知ることだ」と答えています。お客の心を掴むこと、それは最も重要であると同時に最も難しいことでもあります。

そのひとつの側面として前回、「世代観からみたお客のターゲット分析」を取り上げました。しかし、近年の複雑化した社会においては、高齢化社会だから単純にシニア層をターゲットにすれば良いとかネットの浸透が著しいから若年層にターゲットを絞った方が良いという単純な考え方では済まされなくなってきているのが現実です。

お客ごころお客をこの章ではお客の種類をマーケティングに携わるものなら誰でも知っている、エベレット・ロジャース氏の「イノベーター理論」を題材に、あなたがどのような層の人たちをお客様にすべきかを解説していきます。



まず、イノベーター理論について(私独自の見解を含め)説明します。

1.イノベーター(革新的採用者/全体の2.5%を占める)…商品販売後すぐに飛びつく層。新し物好き。商品購買は自己顕示欲を満たすためであることが多い。自慢ぐせがあり、自己中心的である。商品が持つ機能的べネフィットに価値を見出して購入しているわけではない。広く浅く様々な物に興味を持つ。流行に流されやすい。周囲からどのように見られているか体裁を気にする。お金に余裕を持っている人が多い。


2.オピニオンリーダー(初期少数採用者/全体の13.5%)…ある特定の分野でのオタクや情報ツウ。その道のエキスパートである。商品の機能的ベネフィットを自分の判断で理解できる。自分自身の選択基準を持っている。オピニオンリーダーは本来売り手側がベネフィットと考えている(誤解している)機能を、買い手の立場で捉え新しいべネフィットを生み出してくれることもある。 オピニオンリーダーは口コミを起こしてくれる層でこの層に認められればブームとなることも多いです。イノベーターとオピニオンリーダーを合わせて全体の16%を占めるが、オピニオンリーダーに商品が受け入れられない限りは市場における広がりは見込めません。いかに影響力の強いオピニオンリーダーを見つけ味方にするか?彼らの趣味趣向をいかに理解するか?が市場において成功するかどうかの鍵となります。

影響力のある消費者による口コミだけがオピニオンリーダーではありません。マスコミやその分野の権威者の力を借り、彼らからのお墨付きを得て推薦してもらうことで商品は市場にいて急速に広がっていくが、もしその商品が消費者の本当の趣向を無視した、例えば「中身はないが単に新しい」程度のコンセプトのものだったとしたら…瞬間的には踊らされたマジョリティ層により「ブーム」「トップセラー」を生み出すことはできるかもしれないが、それが「トレンド」「ロングセラー」として長い間支持されることはないでしょう。

主にBtoC企業に有利なブランド構築方法として、無料でマスコミに取り上げられることで広告より高い効果を得ようとするPR戦略があります。数年前まではほとんどの人が知らない戦術であったが今は多くの人が(うまくいくいかないは別にして)取り組んでいる分野だと思われます。

ただ、気をつけなくてはならないのは、通常の大衆性の高い媒体(地方新聞紙や民放テレビ)を使ったPR活動というものは、主にイノベーターとマジョリティに対する訴求効果はありますが、それが特に中身が無く新しさを売りにしただけのPRであればブランドイメージを逆に下げる可能性があることを頭の片隅においておかなくてはなりません。(どこにでも露出すれば良いのではありません。媒体選びは非常に重要です)


3.アーリー・マジョリティ(初期多数採用者/全体の34%)レイト・マジョリティ(後期多数採用者/全体の34%)…比較的商品購買に保守的な層。その商品購買における価値判断基準を持っていない。芸能人やセレブ(イノベーター)への憧れの気持ちから購買を決定したり、オピニオンリーダーからの口コミや権威・マスコミからの推薦によって購買を決めることが多い。マジョリティに広まれば一時的に売り上げ総数は最大化するが、後に残された商品寿命は短いと思って良い。

マジョリティには明確な価値判断基準は無く、その商品の良さを理解して選んだわけではないことを理解しておく必要があります。「人が選んでいるものを選んでおけばひとまず安心」という傾向があるのです。それは裏を返せばまた新しいものができれば一気にそちらに移ってしまい捨てられてしまうかもしれないということを意味します。

価値判断基準を理解させ、良さをわかってくれる人間に対してのみ自社商品を使わせることがブランドを守ることにつながります
。(また、オピニオンリーダーはあまりにも一般大衆に広まりすぎた物はいくら良いものであったとしてもそれを所有したいとは思わなくなります。希少性があるからこそそれを所持する自分の自己顕示欲が満たされるのです。大衆化し陳腐化したものにブランド価値はありません)


※PRを正しく行うには、オピニオンリーダーが情報源としているような権威性や専門性の高い媒体に記事掲載されることを狙うこと。マジョリティより先にまずオピニオンリーダーに情報を与え彼らの好反応を得てから、彼らの力も借りながらその他の8割の一般消費者に徐々に良さを啓蒙していくのだ。

PR戦略を試みる人の中には「お金をかけずに楽して儲かりたい」「手っ取り早く有名になりたい」という傾向があるようですが(もっと言えば、ブランド戦略を試みる人の中でもこの傾向がありますが)このような考え方ではマスコミにも消費者にも受け入れられなくなるのは間違いなありません。

オピニオンリーダー層からマジョリティ層に商品認知が広まる間には、大きな溝(キャズムと呼ばれる)があると言われそれが大きな課題であるとも言われているが、本当はターゲットをオピニオンリーダーだけに絞って商売をするぐらいの気持ちでビジネスモデルを構築した方がブランド価値は長続きします。マジョリティの中でも本当に良さを理解できるお客のみ少しずつ啓蒙してオピニオンリーダーに育てていく姿勢が必要です。誰にでも、何でもかんでも売るような節操のない態度はいずれ誰からも支持されなくなってしまうでしょう。

(イノベーター理論は多くの場合、オピニオンリーダーはもちろんマジョリティにもどんどん訴求して市場占有率を一気に高めようという「大企業の経営戦略」として引き合いに出されていることが多いです。この理論を単に鵜呑みにすることなく、中小企業や個人事業主はまず狭い市場で優良顧客からの支持を確実に集めていくことが大切であることを忘れてはならなりません。)


4.ラガード・・・伝統主義者(または採用遅滞者)(16%)。彼らは昔から使用してきたものをそのまま使い続け新商品には目を向けない傾向にある。マジョリティに商品が知れ渡った頃から競合商品や代替商品が出始め、市場への普及率が84%に達したらそのジャンルの商品自体が衰退期に入ったと捉え、新しい分野で新しい商品を新しいイノベーター・オピニオンリーダーへ訴求することが重要になる。



※イノベーター理論でみる各々が持つ欲求

イノベーター・・・ものを使用すること自体にではなく所持することに興味がある。

・オピニオンリーダー
・・・ある特定の分野に深い興味、こだわり、問題意識を持っている。特定の分野の商品の良し悪しが判断できる。痛みを持っており需要が最も高い層。

アーリーマジョリティ・・・信頼するオピニオンリーダーから良いと薦められた商品を所有したがる。周りのみんなと同じであることを好む。

レイトマジョリティ・・・その分野に関しては自分が本当に何が欲しいのか(必要なのか)がわかっていない。その分野に関して購買の価値判断基準が無い。未経験であるか所持する必要性がない。(高くて買えない・自分のセルフイメージに合わない)


※消費者はそれぞれ興味のある分野を持っています。○○さんはAという分野ではオピニオンリーダーだがBという分野ではレイトマジョリティであり、Bさんはその逆という場合があります。自社商品のオピニオンリーダーは誰なのかを知り関係を密にとることが大切です。AさんBさんそれぞれの得意(大好きな)分野の商品と不得意(選択基準がわからない)分野の商品を結び付けることができれば新しい購買理由を創りだすこともできるかもしれません。








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